ご自宅に太陽光発電設備を設置している方にとって重要な卒FIT問題。
固定価格買取り制度の契約終了(『卒FIT』)後、どうなるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、『FIT制度』のこれからについて解説していきたいと思います。
太陽光発電をご利用されている方は要チェックです!
「再生可能エネルギーの固定価格買取り制度(『FIT制度』)」とは、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を
電力会社が一定期間、一定価格で買い取ることを国が保証する制度です。
住宅用太陽光発電の固定価格買取り制度(『FIT制度』)では
家庭で使いきれなかった電気(余剰電力)を 10年間一定価格で電力会社が買い取ってくれます。
その間は高く買い取ってもらうことができます。
『卒FIT』とは、2009年に開始された 「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(『FIT制度』)」が
2019年以降、満了していくことを言います。
満了後は、発電した電気をそれまでのような高値で買い取ってもらうことができなくなります。
買取り期間の満了時期は、制度利用開始時期によって異なります。
買取り期間の満了時期は、現在電力を買い取っている電力会社などから手紙などで届く『買取り期間満了通知』で確認することができます。
概ね買取り期間満了の3~6か月前に通知が届くケースが多いため、もうお手元に届いている方もいらっしゃるかもしれません。
なお、2019年11月をもって『FIT制度』自体が終了と誤解されがちですが、
あくまで固定価格での買取り期間が終了するだけであることに注意が必要です。
特に何もしなかった場合は原則、現在取引をしている電力会社へ自動更新されますので
契約の手間やお金がかからないというメリットがあります。
しかし、期間満了後には売電価格や条件が変わります。
下記の表にありますように売電価格は下落してしまうため、家計にとって良い選択とはいえないかもしれません。
■ 買取り単価の例(令和5年6月20日現在)
買取り期間満了後に太陽光発電を活用する選択肢は大きく分けて二つです。
大切な電力をこれからも有効に活用するにはどんな方法があるのでしょうか。
① 自家消費
■ 家庭用蓄電池を導入して、太陽光発電でまかなえる電力を増やす!
■ 電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を購入し、発電した電気を自動車の動力等に使う
➁ 相対・自由契約
■ 売電できる事業者に対し、相対・自由契約で余剰電力を「売電」する
『余剰電力』の買取りを継続すると発表しているのは大手の電力会社だけではありません。
2016年4月の電力の小売全面自由化以降に設立された新たな小売電気事業者が
様々なメニューで『余剰電力』の買い取りを行っています。
また、その小売電気事業者の中には地方自治体が出資する「自治体新電力」といわれる電力会社も生まれました。
地域で生みだしたエネルギーを地域で活用する電気も「地産地消」できるというこれまでにない新しい選択肢です。
もしかしたら皆さんのお住いの地域にもあるかもしれないので調べてみてはいかがでしょうか。
まずは買取り期間満了前に届く通知文を確認しましょう。
そして『自家消費』と『相対・自由契約』のどちらが良いかを考え、早めに情報収集することが重要です。
「これからも電気の買取りを続けたい」という方は、今までと異なる電力会社などに売電する場合には、
契約の切り替えに期間を要する可能性があります。
各社の契約条件やサービス内容などをしっかり比較するためにも早めの検討はとても大切ですね。
太陽光発電は温室効果ガスを排出せず、燃料費も不要であり非常用電源としても利用可能という有用な電源です。
『FIT制度』による買取り期間が満了を迎えたとしても、これまで活躍してきた『太陽光発電』を
さらに有効活用するための良いタイミングとなるはずです。
今一度、皆さんの「家庭の電気」についてしっかり考えていきましょう。
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁
ttps://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/future.html
〖 制度に関して 〗
Q1:固定価格買取り制度の買取り期間が終わる? 国は買取り制度をやめるのですか?
A1:固定価格買取り制度自体が終了するわけではありません。
住宅用太陽光発電の余剰電力は、固定価格での買取り期間が10年間と定められていることから
買取り期間を順次満了していくことになります。
Q2:買取り期間満了後に何もしないで放置しているとどうなるのですか?
A2:買取り期間の満了後も契約が自動継続となっている場合は、現在取引をしている電力会社の
新しい単価で継続して買取りが行われます。
一方で、契約が自動継続となっていない場合は、いずれかの小売電気事業者へ申込みの上、買取り契約を結ばない限り
買取り者が不在となってしまうため、余剰電力は一般送配電事業者が無償で引き受けることになります。
このため、引き続き余った電気の売電を希望される場合は、今後様々な事業者から発表される買取りメニューをご確認いただき、
買取り期間の満了までに、ご自身の希望に合うプランを選択のうえ、事業者へお申込みください。
なお、事業者の手続きに一定の期間を要しますので、早めのお申込みをお勧めします。
Q3:買取り期間が満了した後は、無償引き取りになると聞いたのですが本当ですか。
A3:買取り期間が満了した後の余剰電力が、必ず無償引き取りになるわけではありません。
蓄電池や電気自動車などと組み合わせて自家消費を拡大することもできますし、引き続きこれまでと同じ電力会社や
別の小売電気事業者に売電することもできます。
どの小売電気事業者とも買取り等の契約を締結していない場合のみ自家消費できなかった余剰電力について
一時的、例外的な「受け皿」として一般送配電事業者が無償で引受けることになります。
なお、買取り期間満了の6か月から4か月前 (買取者のシステム都合によっては3か月前) を目途に、
買取り期間の満了時期や必要な手続きなどについて記載した通知が届くことになっています。
〖 自家消費・売電に関して 〗
Q1:買取り期間満了後も引き続き余剰電力を売電したい、もしくは蓄電池等を導入して自家消費を拡大したいのですが、
どうすればよいですか。
A1:売電の契約をしたいと考えている相手先の小売電気事業者 (もしくは蓄電池の販売メーカーなど) に御相談ください。
なお、買取り期間満了後の電気の買取りを希望する小売電気事業者一覧を掲載し、順次更新していきますので、
ご自身のエリアでサービスを提供している事業者を探す際にご活用ください。
Q2:蓄電池や電気自動車などと組み合わせて自家消費した場合と、これまでと同じ電力会社や別の小売電気事業者に
売電する場合とでは、どちらが買取り期間満了者にとってお得ですか。
A2:電気料金や蓄電池の価格及び小売電気事業者等の買取りメニューによっても異なるため、
一概にどちらに経済的メリットがあるかということを申し上げることはできません。
ご自身にあった使い方を検討し、選択いただければと思います。
〖 その他 〗
Q1:太陽光パネルが古くなったので、買取り期間満了を機に新しいパネルに更新し、
再度、固定価格買取り制度を利用することは可能ですか。
A1:一度、固定価格買取り制度で支援を受けた方は、同じ場所で太陽光発電設備を更新したとしても、
再度支援を受けることはできません。
一般に、太陽光パネルは20~30年間又はそれ以上発電し続けることが可能です。
さらに、住宅用太陽光発電設備については、最初の10年間は制度に基づく買取りが行われ、
その後少なくとも10年間は自家消費や自由契約での売電が行われることを想定して制度設計されています。
固定価格買取り制度による支援終了後も、自立的な電源として発電していただき、
引き続き再生可能エネルギーの推進にご協力いただくようお願いいたします。
Q2:蓄電池を設置しようと思いますが、FITの変更認定申請は必要になりますか。
A2:FIT認定後に蓄電池を設置する場合は「自家発電設備等の変更」に該当するため、買取り期間終了後であっても、
廃止届出が受理されるまでは、現行制度の下ではFITの認定事業である以上は変更認定を受ける必要があります。
しかしながら、買取り期間終了後も、変更認定を受けなければ蓄電池等の設置ができない扱いとすることは合理的でないことから、
2019年8月2日に関係法令の改正を行い、買取り期間終了後、廃止届出が受理されるまでの間に、
FIT認定設備に蓄電池等の設置などの事業計画変更を行う場合は、変更認定ではなく事前変更届出で足りることとしました。
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/faq.html
買取り期間終了後の選択肢は、蓄電池や電気自動車を導入し、自家消費することがお得と言えるでしょう。
電気料金がFIT終了後の売電価格よりも高く、今後も上昇が続くと予想されます。売電ではなく購入する電気の量を減らすほうがお得です。
日中に発電して余った電気を蓄えておき、夜間や雨天時などに使うことで電気代を削減できます。
また、災害停電時の非常用電源としても役立ちます。
契約期間の確認や『卒FIT』後の活用について早めに情報収集し、しっかりと検討しましょう。
蓄電池の購入、設置を検討されている、選び方に不安をお持ちの方は ぜひ一度小川電機にご相談ください!
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